<雪ポートレート撮影に準備することや注意することについて>
もうしばらくすると雪が降るような季節になりました。
ポートレートを嗜(たしな)んでいるカメラマンの皆さんにとっては待ち望んだ季節というかたも多いのではないでしょうか。
私も新潟在住ということもありシーズンに5回は撮りに行きます。
今年でポートレート歴8年ですが、思い起こすと個人撮影を始めて3回目にいきなり湯沢雪撮だったので準備とかいろいろ苦労した思い出があります。(それはそれで楽しかったのだが)
今回の記事では雪撮初めてだよ、というカメラマン向けの記事を書いてみました。
ぜひ楽しい雪撮影を!!
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<準備>
雪が降る降らないで装備も異なるのですが、降っていて寒い、ということを前提にして。
①カメラについて
・レンズフードはつけたほうがいいです。余計な光を防ぐというより、レンズ面が濡れないために。それでも濡れるのでレンズが濡れた時用にレンズ用の拭くものがあるといいです.
いわずもがなですがティッシュペーパーはだめですよ。
・バッテリーは予備を十分に。寒いところはすぐに落ちます。大事なところで落ちないように早めの交換が必要です。余談ですが、ニコンやキヤノンのフラッグシップ(縦グリ)は電池容量が大きいので長持ちします。これって結構重要な気がしますが。
・降雪中のレンズ交換は望ましくないので、避けたほうがいいです。2台持ちかズームを使うなどの工夫をしたほうがいいです。
・気温の低い朝や夕の撮影はカメラをタオルで包むなど低温対策も必要です。またボディは濡れまくるのでこれを拭くためのタオルの用意は必須ですね。
②周辺機器について
・ストロボを使うときは、しっかりとしたつくりのストロボを用意したほうがいいです。他のカメラマンさんからの話では、水漏れやバッテリー落ちもあるそうです。動作しないこともあります。低温対策にはアルミホイルを巻いておくといいようです。電池も多めに。今はサードパティの性能はわかりませんが私はこういう時のために純正ストロボを使っています。作りが非常に優秀なので、このような対策なくてもビシバシ使えますよ。チャージも早い。
・山中など人のいないところでライトスタンドを立てるのも可能でしょうが、常識の範囲内で。周りにはよく見えてるものです。モラルをさげないように。
・レフ機材は必要ないです。雪そのものがレフになります。
③カメラマン自身の装備
・もちろん暖かい格好で。フード付きの上着。
・バックパックのカメラバッグ。傘も固定できる。
・メガネはもちろん曇りますので対策してください。
・手がかじかむと操作ができなくなるので手袋が必要です。
・長靴など足元の防水。雪国には「消雪パイプ」なるものが道路に配置しているので、水たまりなどができやすいです。傘も準備しておくといいです。特にモデルさんは衣装を汚さないためにも。傘は車が来たとき泥が跳ねるので道路に向けて差します。笑
・足元が濡れることが多いので、靴下の替えはあったほうがいいです。
・山に入るならカンジキ(又は靴につけるスパイク)は必須。例えば冬の美人林はこの装備がないと30メートルで引き返すことになります。
・ビニール袋。ほんといろいろ役に立つので大小違えてたくさん。
④モデルさんに
・寒がりな方が多いので貼ることができるホッカイロを多数準備しておくといいです。
・傘
・撮影時に薄着になるときに上着を濡れないようにしておく袋などのいれもの。
<撮影について>
〇日が出ていないとしても白飛びしやすいので、少しアンダー目に露出を決めたほうがいいと思います。
〇雪が多めに降っていると雪にピントが持っていかれやすい。マニュアルを適度に入れながら併用して合わせていくのがコツだと思います。こういう時に親指AFはいい機能です。
〇表現方法はいろいろあると思いますが、ストロボをうまく使うと雪の表現がいい感じになると思います。少し上方に向けてうつといいです。
〇降雪が少ないときは望遠レンズを使うと結構たくさん降ってるように見えます。逆に降雪が多いときに望遠を使うと被写体が見えないくらいに大変なことになります。
〇背景がトビやすいので木とか森の類をモデルの後ろに配置するといいかな、と思います。
<その他>
〇ロケ撮では雪に限らず、計画が大事です。無理しないように。特に雪は思いのほか時間をとるので余裕のある行動計画を立てましょう。
〇交通機関・車など
・車は当然ですがスタッドレスタイヤに。蔵王みたいな坂を上るときはチェーンも装備したほうが安全です。(渋滞すると静止できなくて後ろに滑ってぶつかることがあります。ほんとです。)レンタカーならばガソリン4WD車を選ぶのが無難です。
・大雪でも新幹線は止まりませんが、在来線は簡単に止まります。例えば土合は上信越線が運行していますが、大雪には止まりやすい路線です。行きは行けても帰りは帰れないということもあるので注意が必要です。駅員さんとよく話をして情報を入れておいてください。湯沢は雪に強い新幹線の停車駅なので止まるということはありません。高速道路は止まります。夜に車中泊するような渋滞が起こることもあります。
〇安全にかかわって
・雪や土地に慣れていない場合はぜったいに無理は禁物です。山奥とか特に川とかには近寄らないほうが無難です。新雪(まだ足跡がついていないような雪の場所)を求めて事故や遭難にあう人もいます。写真を撮ってて雪に埋もれていた川に落ちた、という例もありますので十分注意してください。川が一番怖いかな。
・特に吹雪で視界の見えないようなときに(そもそも撮影はできませんが)それでも撮ろうとする人がいますけど、事故の要因となりますので避けたほうがいいですよ。
〇ロケ地について
・東北は雪質はいいですけど、とにかく寒いです。一般的に新潟より山形秋田は5度くらい下がります。その点越後湯沢は雪量は多いですし、気温もそこまで寒くないです。日によりますが。交通の便もいいのでぜひどうぞ。新潟びいきですみません。反面新潟は新潟でも新潟市はほとんど雪降らないので雪撮にこようとは思わないほうがいいですね。
<最後に>
自分は新潟に住んでいるので、雪というとものすごくマイナスなイメージがあってあまり楽しくないものなんですけど、関東のあまり雪を見慣れないモデルさんたちが雪を見て、大喜びでテンションが上がり、自分も釣られてしまっていいのが撮れることが多いです。
また、大雪の前も見えないようななか、モデルさんと苦労しながらも力を合わせて作品を作るということは何よりも信頼感を生みます。困難なことを共有すると親密さが上がるというのかな、大事なことですよね。
雪撮はとても多くの魅力があります。
僕自身のことをお話しすると、ポートレートに少し慢性感が出たころにモデルの田中優衣さんと忘れもしない越後湯沢の地で「再会」という雪撮の作品を作れたことが、今に繋がっています。雪撮は僕のポートレート撮影でも中核に占めています。
この記事を読まれた皆さんが、ぜひ素晴らしい作品、というより何よりも雪のなかでの撮影を心から楽しまれることを祈念しております。
「 放課後 」
もも。展 展示Book掲載作品
model もも。
Camera Nikon Z9
Lense Nikon Z135mm f/1.8S Plena
Location 新潟県松之山美人林
Date 2024.2
2024年の8月に行われた「もも。展」出展のための作品撮りの1枚から。
撮影のテーマは「雪国」である。
降雪があまり大雪でないときは、圧縮効果を期待して望遠レンズを使う。
今回使用したレンズはNikonが一つのレンズに特に命名した「Plena」だ。
このレンズを使用することで雪の中のドラマチックな構図が期待できる。
そして何よりもモデルのチャレンジ欲を高めることができた雪中での撮影となった。
念のために加筆するが、雪は編集によって加えたり変えたりしていない、ありのままの写真である。
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